銀行借り入れの際に注意すべき事項

銀行から借入れする際に、あなたは下記①と②のうちどちらを選択しますか?

 

① 金利がもったいないので、できるだけ短期で借りる。

② 毎月の返済額を少なくなるように、できるだけ長期で借りる。

 

正解は②です。

 

特に不動産オーナー様は、変動金利で、できるだけ長期で借りることを選択してください。

そして、もし将来余裕資金ができれば繰上げ返済し、毎月の返済額を減らすという考え方が正解です。

でもなぜか①を選択され、後で「先生大変や。どうしたらいいんやろ?」といった相談を受けることがあります。

①を選択した理由を聞くと、本人の「借金は早く返済したいという気持ち」があるのと同時に、銀行からの勧めも影響してます。

しかし、極端に短い返済期間だと、経費で落ちない元金は、毎月のキャッシュフローを悪化させます。

例えば収益マンションの購入資金をほとんど借入れで賄い、返済期間を10年未満なら、間違いなく近いうちに資金がショートしてしまいます。

「税金をたくさん払っているのにお金が手元にないのはなんでや!」という状態になってしまいます。

 

事前に相談してもらえば適切なアドバイスをさせていただきますが、銀行の担当者主導の融資は非常に危険ですので注意しましょう。

広大地評価の改正による相続税の増税

平成29年度税制改正により、土地の広大地評価の改正が行われ、名称は、広大地から「地積規模の大きな宅地」の評価となりました。

 

改正前では、相続等した土地が広大地に該当すると、仮に面積1,000㎡なら路線価の55%の評価額、5,000㎡を超えるとなんと路線価のわずか35%の評価額で相続税の申告で済んでいました。

この大きな評価減は、広大地補正率を乗じることによって減額され、広い土地を所有する不動産オーナー様にとっては大きな相続税の減税となっていました。

 

そもそも広大地の減額が認められた理由は、一戸建て用地として建売業者が広大な土地を取得する場合に、新たな道路(開発道路)の新設等「潰れ地」が発生するため、その「潰れ地」を見越し、安く土地を仕入れるため、その減額相当分を売る側となる地主の土地の相続税評価にも反映させる必要があったからです。

 

しかしながら、実際の売買価額と比べ減額しすぎとの批判があったのと、広大地に該当するかしないのかの判断が非常にむづかしいとの批判があり今回の改正となりました。

今回の改正で広大地補正率は廃止され、新たに規模格差補正率を用いることとなり、仮に相続等した土地が地積規模の大きな宅地に該当しますと、面積1,000㎡なら路線価の約80%の評価額、5,000㎡を超えても路線価の約72%の評価額となり、改正前と比べ、土地の評価額は、面積1,000㎡なら約1.45倍(注)、面積5,000㎡を超えると約2.05倍(注)も大幅に上がります。(注)奥行補正率を考慮しないこととする。

この改正は、来年1月からの相続等から適用され、広い土地を所有する不動産オーナー様にとって、相続税の大贈税となります。

 

先日、ある不動産鑑定士の先生が「今年(平成29年)いっぱいは広大地評価が認められるので、今年中に相続時精算課税贈与(非課税枠2,500万円)をして子供や孫に土地を移しておく方がいいかもしれませんね。今、この制度を使って贈与する方が増えていますよ」とおっしゃっていました。

今年いっぱいの駆け込み需要ですね。

 

国税庁、AIの活用

先日(平成29年6月24日)の日経新聞の朝刊によりますと、国税庁が10年後の税務行政の姿を描いた資料を公表しました。

AI(人工知能)を使った税務相談や税務調査先の選定などに用いる予定です。

現在の税務相談は、電話か税務署に直接訪問してもらい個別に行っています。

構想では、国税庁がAIを使い、電子メールやチャットで相談できるようにしたり、相談内容を分析し、適切な回答を自動表示できるようなシステムを開発することを検討しています。

また、税務調査においても、AIを使い過去の納税状況などの情報を分析して、調査の必要度が高い企業や個人を選定するということです。

現在、税務調査先の最終選定は、ベテラン職員の勘に頼るところが大きいですが、こうしたノウハウをAIに学習させ、事務の効率化を図ることを狙いとしています。

 

ただ、私が税務職員であった頃も、調査先選定の際には、国税局が数値分析した「法人税調査表」に基づき準備調査をしたこともありましたが、その数値分析結果と実際に調査した際に問題点となった事項とは異なっている場合が多く、「法人税調査表」は、あまり信用できませんでした。

理由は、法人の場合は、業種によっては粉飾決算している場合や利益率が大きく異なる商品等を多数取り扱っている場合もあり、数値分析だけでは内容がはっきりわかりません。

そのため、実際に現場に行ってみて調査してからその法人の問題点が分かるケースが多かったからです。

 

やはり「現場が大切」、なのです。

10年後には「ベテラン職員の勘」をAIに学習させることが可能になっているのでしょうか…?

「人」と対峙する仕事はAIには難しいのではないでしょうか。

結局は税務調査も調査能力のあるベテラン調査官に頼らざるを得なく、AIは準備調査の際の参考程度に用いらざるを得ないのではと思います。

ついに「選別融資」が始まった。

今年の4月から銀行は、融資先を厳しく選ぶ「選別融資」を始めています。

昨年までならサラリーマンが投資する区分所有マンションの融資は緩く、購入資金の頭金がほとんどなくても融資してもらえましたが、今は最低でも2~3割の頭金が無ければ融資してもらえません。

なぜか?

それは賃貸マンション市場が現在供給過剰で、最初のうちは入居者が決まるかもしれませんが、退去後、空室となる可能性が高くなり、借入金の返済が滞ることが想定されるからです。

また、一部の建築業者が金融機関と提携し、都心ではなく郊外の不動産オーナーに対し、賃貸アパートを建てることを勧める事例がここ2~3年急増しています。

理由は、相続税対策のためだそうです。

しかし、賃貸アパートも供給過剰で、空室率は高くなっており、将来オーナーが建築のために借りたアパートローンの返済ができなくなる可能性があります。

そのため、昨年あたりから金融庁がこれらの融資をする金融機関に対して厳しく指導をしています。

このような状況から、金融機関は将来の貸倒れのリスクを回避するため、キャッシュを多く持っている人だけに融資する「選別融資」を始めました。

「選別融資」で、はじかれる人は、下記(①~⑥)のような人たちです。

① 借入金で不動産投資するサラリーマン投資家。

② 自己資金がなく、所得が低い人。

③ 所得が不安定な人。

④ 既に借入金が多い人。

⑤ 在庫を多く抱えるデベロッパーや買取業者。

⑥ 業績低迷で、不安定な業者。

もちろん不動産担保も重要ですが、意外と不動産オーナーによっては金融資産(キャッシュ)を持っていない人が多く、これらの人も新たな融資対象から外れることになります。

このため、いい物件が出たときに新たな融資が受られないため購入できないなどの不便が生じます。

キャッシュを増やすためには、既存の借入の返済期間を延長できるように金融機関と交渉したり、現在所有の不動産の一部を他人に売却することも考える必要があると思います。

 

最近の不動産事情

これまでアベノミクス効果により順調に伸びてきていた不動産の取引件数ですが、そろそろ陰りが見え始めたようです。

 

中古マンション、中古住宅等の低価格帯物件はまだ何とか売れていますが、新築マンション、新築戸建て住宅については、高価格帯のものは売れ残りが目立つようになりました。

これまで住宅需要を喚起し、拡大を支援してきた金融機関の融資体制が今年の春から大きく変化したことも原因の一つです。

住宅ローンであれば誰にでも甘かった「貸出し」が、融資相手や対象物件を個別に評価する「選別融資」という、考えてみれば当たり前の姿勢に変化してきたのです。

その結果審査によっては「融資がおりない」ケースが珍しくなくなっています。

 

この変化は、収益マンションの売買にも影響を与えており、買い手の属性や経済状況、対象物件の担保価値その他を審査してその結果融資を断られる、売買が成立しないというケースが増えてきています。

 

この2~3年ほどの間に、金融の緩和と相続税強化の影響で大量の賃貸アパート・マンションが建設されましたが、地域によっては飽和状態となり、家賃の低下を招く原因となっています。

さらに既存の賃貸物件で駅から遠いところなどは、家賃を下げても埋まらないという悲惨な状態です。

そこで物件を売ろうとしても上記の通り、売買が成立しにくくなっていますから、オーナーさんは益々苦しい立場に立たされます。

 

人口の減少、若者のクルマ離れ、共稼ぎ世帯の増加、高齢社会などなど難しい局面での賃貸経営、オーナーさんはお持ちの不動産の選別を早めにしっかりしなくてはいけません。

「持ち続けるリスク」ということも頭に入れておくことが大切です。

「相続税ゼロ申告」の増加

国税庁が3日発表した路線価は全国平均で2年連続の上昇となりました。

大阪市内も外国人観光客の増加でホテル用地が取り合いとなっており、大阪・道頓堀の「戎橋ビル」前で968万円/㎡と、昨年よりも36%も上昇しました。

新たに開業するホテルや旅館に出した営業許可件数は、昨年は206件と、一昨年(65件)と比べ約3倍に増えました。

インバウンド効果のおかげで、一部の地域では今後も地価は堅調に推移すると言われています。

 

路線価は相続税や贈与税の基準となるので上昇の影響は大きく、また平成27年1月から基礎控除が6割に下がった相続税制度の改正によっても課税対象者が増加する傾向にあります。

国税庁によりますと平成27年に約129万人亡くなり、相続税の対象となったのは、約10万3千人で、平成26年と比べ約1.8倍に増えました。

課税割合は8%と平成27年の4.4%を大きく上回っており、いわゆる「中流層」にも相続税がかかるようになりました。

 

もっとも「小規模宅地等の特例計算」「配偶者控除の特例」などの特例を使い相続財産を基礎控除の範囲内で納めて、相続税をかからなくすることができます。

そしてこれらの特例を利用するには相続税の申告が必要です。

特例を利用するなどした相続税ゼロ申告は、平成27年で約3万人に達し、平成26年と比べ約8割増加しています。

 

今後も路線価上昇・基礎控除の縮小による増税を回避するため、特例計算の減額による「相続税ゼロ申告」は増加すると思われます。

 

 

平成29年度税制改正⑰「異動届出書等の提出関連事務の見直し」

(1)改正の趣旨

事務負担の軽減を図るため。

(2)改正の内容

① 改正前は、異動前・後の所轄税務署長に届出書を提出していましたが、改正後は、異動前のみに事務負担が軽減されました。

届出書の内訳   提  出  先
・納税地の変更に関する届出書(所得)

・納税地の異動に関する届出書(所得・法人・消費)

・個人事業の開業・廃業等届出書(所得)

・給与支払事務所等の移転届出書(所得)

・異動等前の所轄税務署長のみ

 

② 法人の設立届出書等は、登記事項証明書の添付が不要となりました。

 

 

 

 

 

平成29年度税制改正⑯「地域中核企業向け設備投資促進税制の創設」

(1)改正の趣旨

地域経済に好循環をもたらすため、いわゆる「ローカルアベノミクス」の実現に向けて、地域経済に波及効果のある新たな事業に挑戦する法人を支援するため。

(2)改正のポイント

① 都道府県に認定された事業計画に基づいて行う設備投資について、機械装置、器

具備品、建物、建物附属設備、構築物の特別償却または税額控除が可能となります。

② 事業者が策定した事業計画について、都道府県と国の認定を受けることが必要で

す。

③ 企業立地促進法の改正を前提としています。

(3)改正の内容

① 対象者:青色申告書を提出する法人。

② 適用地域:特定承認地域中核事業計画にかかる地域未来投資促進法の同意地域中

核事業促進地域内(3大都市圏などの都市部を排除するようなものには

ならない見込み)。

③ 適用設備:特定地域中核事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物、建物附属設備、構築物。

④ 対象事業:・先端技術を活かした成長モノづくり分野。

・第4次産業革命関連分野(IoT、ビッグデータ、AI等)。

・食関連、地域商社、健康、教育関連サービス、観光、商業、スポー

ツ活用ビジネス(スポーツスタジアム等)。

⑤ 適用期間:企業立地促進法の改正法施行日(平成29年夏ごろ施行予定)から開始。

⑥ 総投資額:2,000万円以上。

⑦ 税務上の措置

対象設備 特別償却 税額控除
機械装置、器具備品 取得価額×40% 取得価額×4%(注)
建物、建物附属設備、構築物 取得価額×20% 取得価額×2%(注)

(注)税額控除限度額は、法人税額の20%

 

 

 

 

 

平成29年度税制改正⑮「法人の確定申告書の申告期限の延長の特例」

(1)改正の趣旨

株主総会の開催日を分散化し、企業と株主の対話の充実を図るため、大企業等が株主総会の開催日を柔軟に設定できるようにするため。

(2)改正の内容

法人が会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3か月以内に決算についての定時株主総会が招集されない常況にあると認められる場合には、4か月を超えない範囲内において、税務署長が指定する月数の期間の確定申告書の提出期限の延長が認められます。

ただし、株主総会開催月中(決算後6か月以内が限度)まで延長が可能となります。

〇 例えば3月決算の場合

改  正  前 改  正  後
・6月末まで(1か月の申告期限の延長) ・9月末まで(4か月の申告期限の延長)

 

 

 

平成29年度税制改正⑭「医療費控除等の添付書類の見直し」

(1)改正のポイント

医療費控除またはセルフメディケーション税制(注)を受ける者は、添付書類が「領収書」から「明細書」へ変更されました。

(注)セルフメディケーション税制とは、今年(平成29年分)からスイッチOTC医薬品(1月17日

時点で1,577品目)を購入した際に、その年中に支払った医薬品の合計金額が12,000円を超

えるときは、その超える部分の金額について、所得控除(最大88,000円)できます。適用要件

としては、健康診断、予防接種等のどれかを受けている必要があります。

なお、従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制とはどちらかの選択適用になりま

す。

(2)改正の内容

現在の医療費控除は、領収書の提出が必要(電子申告は領収書5年間保存)ですが、今年(平成29年分)から領収書の提出に代えて、医療費等の明細書の提出(電子申告は明細書5年間保存)となります。

なお、3年間の経過措置があり、平成29~31年分までは、明細書及び領収書(電子申告は領収書5年間保存)のどちらでも、医療費控除またはセルフメディケーション税制の適用を受けることができます。