平成30年度税制改正⑮「中小企業向け生産性向上のための固定資産税の特例措置」

(1)改正の趣旨と概要

中小企業者等に対して、設備投資を後押しするための税制が創設されます。

中小企業者等が革新的事業活動による生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、先端設備等導入計画(仮称)に記載された一定の機械装置等を取得した場合に、その取得した資産に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間、ゼロ以上1/2以下の範囲において各市町村の条例で定める割合を乗じた額とする措置が創設されます。

上記の措置に伴い、平成29年度税制改正による中小企業等経営強化法に規定する固定資産税の軽減措置(取得から3年間、課税標準1/2)は、2019年3月31日の適用期限をもって廃止されます。

(2)改正の内容

項 目 生産性向上のための臨時措置法(仮称)に基づく固定資産税の特例措置
対象者 先端設備等導入計画(仮称)(注1)の認定を受けた中小企業者等(注2)

(注1)市町村の導入促進基本計画(仮称)に適合かつ労働生産性を年3%以上向上させるもの

(注2)資本金(出資金)が1億円以下の法人、資本金(出資金)がない場合は、常時使用する従業員1,000人以下の法人、常時使用する従業員が1,000人以下の個人、(ただし、発行済株式総数の1/2以上が同一の大規模法人により所有されている法人を除きます)

特例措置 取得から3年間、課税標準をゼロ以上1/2以下の範囲において各市町村の条例で定める割合を乗じた額とする
対象地域 各市町村の条例で定められる予定
対象設備

最低金額

販売開始

旧モデルで比生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上することが必要です。

・機械装置:単品160万円以上 、販売開始10年以内

・測定・検査工具:単品30万円以上 、販売開始5年以内

・器具備品:単品30万円以上 、販売開始6年以内

・建物附属設備:単品60万円以上 、販売開始14年以内(ただし、家屋と一体となって効用を果たすものを除く)

(3)適用時期

臨時措置法(仮称)の施行の日から2021年3月31日までの間に取得された固定資産

に係る固定資産税について適用されます。

 

 

平成30年度税制改正⑭「大企業の租税特別措置の適用要件の見直し」

(1)改正の趣旨

所得が増加しているにもかかわらず、賃上げと国内設備投資のいずれもほとんど行っていない大企業については、研究開発税制等、生産性の向上に関連する税額控除が適用されないことになります。

(2)改正の内容

NO 項 目 内         容
対象法人 〇 大企業(中小企業者(適用除外事業者を除く)又は農協以外の法人)
措置法不適用要件 〇 次のイ~ハのすべての要件に該当する大企業については、下記③の税額控除はすべて適用できません。

イ 当期の所得金額>前期の所得金額

ロ 当期の平均給与等支給額≦前期の平均給与等支給額

ハ 当期の国内設備投資額≦当期の減価償却費の総額×10%

不適用税額控除 〇 不適用となる設備投資税制

イ 研究開発税制

ロ 地域未来投資促進税制

ハ 情報連携投資等の促進に係る税制(新設)

(3)適用時期

2018年4月1日~2021年3月31日までの間に開始する各事業年度

(4)影響

大企業のうち、利益が出ているにもかかわらず、賃上げや設備投資をしない黒字企業につては、税制上の優遇措置を見送ります。

 

 

平成30年度税制改正⑬「情報連携投資等の促進に係る税制の創設」

(1)改正の趣旨と背景

〇 企業内外のデータを連携、高度利活用することにより生産性の向上を図るため。

イ IoT(注)、AI、ビッグデータなどの新技術が実用段階に入っている中で、「データ」の高度利活用による付加価値創出の取組みが必要となります。

しかし、現状は、IT投資リスクやセキュリティ面での懸念から自社内のサーバ上の企業独自のシステムから脱却できず、データの連携、高度利活用が進んでいません。

(注)全てのモノがインターネットでつながります。

ロ また、データ同士がつながることによって増大するサイバー攻撃の脅威に対抗するためのセキュリティ対策投資が、コスト増加の理由で進んでいません。

ハ そのため、データの高度利活用による新たな事業領域や付加価値の創出を狙う事業及び一定のレベル以上の質の高いセキュリティシステムの構築を支援するための税制措置を創設します。

(2)改正のポイント

「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の要件を満たすものとして認定された計画に基づく情報連携投資(IoT投資)について、特別償却又は税額控除が適用されます。

(3)改正の内容

項 目 内         容
対象法人 〇 生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、青色申告法人で同法の革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けたもの
計画認定要 ① データ連携、利活用の内容

・社外データやこれまで取得したことないデータを社内データと連携

・企業の競争力における重要データをグループ企業間や事業所間で連携

② セキュリティ面の確保

・必要なセキュリティ対策が講じられていることをセキュリティの専門家(登録セキスぺ等)が担保

③ 生産性向上目標

・労働生産性:年平均伸率2%以上

・投資利益率:年平均15%以上

対象設備 〇 ソフトウェア、器具備品、機械装置
特別償却 〇 情報連携利活用設備の取得価額×30%
税額控除 ① 情報連携利活用設備の取得価額×3%(法人税額の15%を限度)

② 情報連携利活用設備の取得価額×5%(法人税額の20%を限度)(注)

最低投資合計額 〇 5,000万円以上

(注)平均給与等支給額の対前年度増加率3%以上

(4)適用時期

生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の施行日から2021年3月31日までに一定の設備を取得し、事業の用に供されること。

(5)影響

IOT投資に積極的に取り組む企業の税負担を実質約20%まで引き下げ、国際競争に打ち勝つ環境を提供します。

 

 

 

 

 

 

平成30年度税制改正⑫「所得拡大促進税制の拡充」

(1)改正の趣旨

デフレ脱却と経済再生に向け、持続的な賃上げを行うためには生産性向上のための設備投資が重要であるとの観点から、賃上げ、生産性向上のための税制上の措置を講じます。

(2)改正のポイント

① 大企業については、3%の賃上げと一定の国内設備投資が必要となるため、適用要件が厳しくなりますが、一方で賃上げ、従業員の教育訓練、国内設備投資を積極的に行うと控除税率が拡充されます。

② 中小企業については、要件は簡素化されるものの、前年比1.5%以上の賃上げが必要となります。

(3)改正の内容

① 大企業の要件

現行の要件 改正後の要件
イ 給与等支給額の総額が平成24年度から5%以上増加

ロ 給与等支給額の総額が前事業年度以上増加

ハ 平均給与等支給額が前事業年度比2%以上増加

 

イ 削除

 

ロ 削除

 

ハ 平均給与等支給額(注)が前事業年度比3%以上増加

ニ 当期の減価償却費×90%以上の国内設備投資額

ホ 当期の教育訓練費が前期・前々期の平均額より20%以上増加

(注)平均給与等支給額の計算の基礎となる「継続雇用者」とは、当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある(中途入社、中途退職者等を除く)者をいう

② 大企業の税額控除額

改   正   後
イ 上記「改正後の要件」ハ・ニを満たした場合

(当期雇用者給与等支給額-前期雇用者給与等支給額)×15%

ロ 上記「改正後の要件」全てを満たした場合

(当期雇用者給与等支給額-前期雇用者給与等支給額)×20%

③ 大企業の税額控除限度額

法人税額の20%(ただし、設立事業年度は対象外)

④ 中小企業の要件

現行の要件 改正後の要件
イ 給与等支給額の総額が平成24年度から3%以上増加

ロ 給与等支給額の総額が前事業年度以上増加

ハ 平均給与等支給額が前事業年度より増加

 

イ 削除

 

ロ 削除

 

ハ 平均給与等支給額(注)が前事業年度比1.5%以上増加

ニ 平均給与等支給額が前事業年度比2.5%以上増加

ホ 当期の教育訓練費が前期より10%以上増加

へ 事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上が確実に行われたものとして証明されたこと

(注)平均給与等支給額の計算の基礎となる「継続雇用者」とは、当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある(中途入社、中途退職者等を除く)者をいう

⑤ 中小企業の税額控除額

改   正   後
イ 上記「改正後の要件」ハを満たした場合

(当期雇用者給与等支給額-前期雇用者給与等支給額)×15%

ロ 上記「改正後の要件」をニ・ホまたはニ・へを満たした場合

(当期雇用者給与等支給額-前期雇用者給与等支給額)×25%

⑥ 中小企業の税額控除限度額

イ 法人税額の20%(ただし、設立事業年度は対象外)

ロ 大企業の要件と選択適用可

(4)適用時期

2018年4月1日~2021年3月31日までの間に開始する各事業年度

 

 

 

 

 

平成30年度税制改正⑪「小規模宅地等の特例の見直し」

(1)改正の趣旨

小規模宅地等の特例は、居住用又は事業用の宅地等の相続税の課税価格を軽減することで、相続人の居住の継続又は事業の継続に配慮することを目的として創設された制度です。しかしながら、居住の継続又は事業の継続への配慮という制度の目的に沿っていない特例の利用が行われている現状があり見直しが行われます。

(2)現行の問題点

① 意図的な「家なき子」が大幅な節税

別居親族が一定の条件を満たしますと、被相続人の居住用宅地等330㎡までの部分について、その宅地等の相続税評価額を80%減額できる制度です。

この制度は、持ち家のない子(いわゆる「家なき子」)が親の死亡後に実家に戻ることを想定した特例です。

しかしながら、相続人が自己の持ち家を相続前に親族や自己の同族会社に譲渡するなどした後も社宅等として引続き住み続けることにより意図的に「家なき子」になることで、本来の制度の目的に沿っていない特例の利用が行われている現状があります。

② 一時的な「貸付事業用宅地等」取得による大幅な節税

貸付事業用宅地等については、被相続人の貸付宅地200㎡までの部分について、その宅地等の相続税評価額を50%減額できる制度です。

ただし、会計検査院の報告によりますと、相続により取得した土地を3年以内に譲渡した人は2,907人で、そのうち小規模宅地等の特例を適用した土地を譲渡した人は243人いたということです。

このように一部の相続人は、この特例を悪用して相続開始直前に一時的に現金を不動産に換え相続税負担を軽減し、相続後すぐに譲渡し、再び現金に換えるといった本来の制度の目的に沿っていない特例の利用が行われている現状があります。

(3)改正のポイント

① 被相続人と別居する親族で持ち家に居住していない者(いわゆる「家なき子」)に係る特定居住用宅地等の特例について、その者の居住している家屋に関する要件が、下記のとおり見直されます。

現行の要件 改正後の要件
イ 被相続人に配偶者及び同居の相続人がいないこと

ロ 相続開始時から相続税申告期限までその宅地等を所有し続けていること

ハ 相続開始前3年以内に国内にある自己又は自己の配偶者が所有する家屋に居住したことがないこと

イ~ハは左記と同じ

(新たな追加要件)

ニ 相続開始前3年以内に国内にある自己の3親等内の親族又は自己と特別の関係のある法人(同族会社のほか特定一般社団法人等も含まれます)が所有する家屋に居住したことがないこと

ホ 相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していたことがないこと

② 貸付事業用宅地等の範囲について

現行の要件 改正後の要件
〇 相続開始前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等 イ 相続開始前3年以内に被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等は除く

ロ 相続開始前3年を超えて事業的規模(5棟10室以上)で貸付事業を行っていた被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等

ハ 平成30年3月31日以前から被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等

(4)被相続人の居住の用に供されていた宅地等の範囲の拡大

平成25年度税制改正により、被相続人が老人ホーム等に入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった宅地等についても、要介護認定等を受けていたなど一定の要件を満たす場合には、被相続人の居住用宅地等の特例計算対象(宅地330㎡まで相続税評価額を80%減)となっています。

さらに今回の改正で「介護医療院」に入居している場合もこの制度が適用できるよう新たに追加されました。

現行の要件 改正後の要件
〇 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等 〇 左記以外に介護医療院が追加

(5)適用時期

上記の改正は、2018年4月1日以後の相続等について適用されます。

なお、上記(3)②の改正は、平成30年3月31日以前から被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等については適用されません。

(6)影響

① 改正後は、仮に伯父叔母の家に住んでいた「家なき子」に相続が発生した場合であっても、その「家なき子」には、実家の相続で特定居住用宅地等の特例計算(宅地330㎡まで相続税評価額を80%減)は、適用されません。

② 貸付事業用宅地等の特例計算の規制は、被相続人が事業的規模(5棟10室以上)で相続開始前3年を超えて貸付事業を行っている場合は、所有貸付地の中で最も有利な貸付地を選択できます。

 

 

 

 

 

平成30年度税制改正⑩「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」

(1)改正の趣旨

一般社団法人・一般財団法人に財産を移転することによる課税逃れを防止する観点か ら、贈与税・相続税の課税の適正化を図ります。

(2)現行の問題点

親族で実質的に支配する一般社団法人に財産を移転しますと、役員の交代により支配権の移転を通じて子や孫に代々承継されます。

仮に相続が発生した場合では、株式会社であれば株価に対して相続税が課税されますが、一般社団法人には出資持分(株式)が存在しないため相続税が課税されません。

一般社団法人を親の代で設立していると、代替わりしても「経営権の移転」ですみます。

つまり実質無税で親から子へ、子から孫へと財産を継承できることから、贈与税・相続税を不当に免れることもできました。

しかし、今回の改正でそのような租税回避行為に歯止めがかかりました。

(3)改正のポイント

① 一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与等の課税強化

現行法では個人が所有する不動産を一般社団法人等に寄付(贈与)すると時価で譲渡したものとみなして(みなし譲渡)譲渡所得税が発生し、寄付(贈与)を受けた一般社団法人等はその受増益に対して法人税が課税されることになっています。さらに今回の改正で、個人から一般社団法人等に対して財産の贈与等があった場合に下記の一定の要件(イ~ホ)全てを満たさなければ、一般社団法人等を個人とみなして贈与税が課税されることが明確化されました。その場合に、法人税を支払っている場合には、その支払った法人税は控除されます。

イ 組織運営が適正であること(理事6人以上、監事2人以上等)

ロ 定款等において役員等に占める親族等の割合が1/3以下であるとする旨の定めがあること

ハ 定款等において解散時の残余財産は、国に帰属させる旨の定めがあること

ニ 寄附をした個人や役員等に特別の利益を与えないこと

ホ 法令違反、仮装、隠蔽の事実がないこと

② 特定一般社団法人等(注1)に対する相続税の課税強化

特定一般社団法人等の役員が死亡した場合には、当該特定一般社団法人等が、次の計算式で計算した金額に相当する金額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該特定一般社団法人等に相続税が課税されます。

相続税課税対象額=特定一般社団法人等の純資産額÷その死亡時における被相続人含む同族役員(注2)

(注1)特定一般社団法人等とは、①相続開始直前における同族役員数÷総役員数>1/2または②相続開始前5年以内において同族役員数÷総役員数>1/2が3年以上の一般社団法人等をいいます。

(注2)同族役員とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者、3親等内の親族その他被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)をいいます。

(4)適用時期

上記の改正は、2018年4月1日以後の一般社団法人等への贈与に係る贈与税及び役員の死亡に係る相続税について適用されます。

ただし、同日前に設立された一般社団法人等については、2021年4月1日以後の役員の死亡に係る相続税について適用されます。

(5)影響

特定一般社団法人等の理事が死亡した場合には、当該特定一般社団法人等に相続税が課税されますが、その税額は2割加算となります。

 

 

 

 

 

 

 

平成30年度税制改正⑨「事業承継税制の特例の創設等」

(1)改正の趣旨

中小企業経営者の高齢化が急速に進展する中、後継者難ゆえの廃業により地域経済に打撃を与える恐れがあり、事業承継の円滑化を通じた生産性の向上は重要な課題です。そのため、中小企業経営者の代替わりを促進する観点から10年間の特例措置として、事業承継税制が抜本的に拡充されます。

(2)改正のポイント

① 事業承継時の納税負担がゼロに!→対象株式数等の上限撤廃

納税猶予対象株式数の制限が無くなり(贈与、相続、遺贈により取得した全株式が納税猶予の対象)、さらに納税猶予対象株式に係る贈与税又は相続税の全額が猶予されます。

(説明)

特例後継者が特例認定承継会社の代表権を有していた者から、贈与、相続、遺贈によりその特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡の日までその納税が猶予されます。

(特例後継者とは)

イ 特例承継計画に記載された後継者であること(親族、親族外は問わない)。

ロ 特例認定承継会社の代表権を有すること。

ハ 後継者と同族関係者で総議決権数の50%超を有すること。

ニ 同族関係者のうち議決権を最も多く有する者(後継者が2名又は3名以上の場合には、議決権数が上位2名又は3名の者(総議決権数の10%以上を有する者に限る))であること。

(特例認定承継会社とは)

イ 2018年4月1日から2023年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出した会社であること。

ロ 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定を受けていること(原則制度同様に上場会社、風俗営業会社、資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないこと等)。

(特例承継計画とは)

イ 認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受け作成した計画であること。

ロ 特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されていること。

② 多様な事業承継を促進!→複数承継の対象化

適用対象者が拡大されます(複数人からの承継、複数人(最大3名)への承継も可能)。

(説明)

複数人(代表者以外の者も含む)からの特例後継者への承継も適用対象。

また、代表権を有する複数人(最大3名)への承継も適用対象。

特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する特例認定承継会社の非上場株式についても、特例承継期間(5年間)内にその贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、本特例の対象とされます。

③ 納税猶予打切りリスクを最小化!→雇用維持要件の実質撤廃

雇用確保要件(特例承継期間の5年平均で、贈与又は相続時の雇用の8割を維持)が実質的に撤廃されます。

(説明)

もし、特例承継期間内において雇用確保要件が満たせない場合には、その理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されたものに限る)を都道府県知事に提出すれば納税猶予は継続されます。

④ 将来の納税不安を大幅軽減!→経営環境変化に応じた減免制度の創設

一定の要件を満たす納税猶予対象株式の譲渡、合併又は解散等については、納税猶予税額の減免措置が講じられます。

(説明)

経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合(注)において、特例承継期間(5年間)経過後に、特例認定承継会社の非上場株式を譲渡するときは譲渡対価の額を基に、特例認定承継会社が合併により消滅するときは合併対価の額を基に、特例認定承継会社が解散するときは解散時の相続税評価額を基に納税額を再計算し、当該納税額が当初の納税猶予額を下回る場合は当該差額が免除されます。

(注)経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合とは、次のいずれかに該当する場合をいいます。

イ 直前期以前3年間のうち2年間以上赤字である場合

ロ 直前期以前3年間のうち2年間以上売上高が前年比で減少している場合

ハ 直前期末の有利子負債の額が、直前期の売上×6か月分以上である場合

ニ 直前期1年間の同業種に係る上場会社の平均株価が前年1年間平均より下落している場合

ホ 経営を継続しない特段の理由がある場合

⑤ 相続時精算課税制度の併用時における適用対象者の拡充!→推定相続人以外でも適用可能に

特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税制度の適用が可能となります。

(説明)

特例後継者(その年の1月1日現在で20歳以上である者に限る)が贈与者(同日において60歳以上)の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税の適用を受けることができます。

⑥ その他の要件は、現行の事業承継税制と同じ内容です。

(3)適用時期

2018年1月1日から2027年12月31日までの間に贈与、相続、遺贈により取得する財

産に係る贈与税又は相続税について適用します。

ただし、この制度を利用するには、2018年4月1日から2023年3月31日までの5年

以内に特例承継計画を都道府県に提出する必要があります。

(4)影響

① 贈与時及び相続時の税負担なしで、特例後継者に株式の承継をすることができます。

② 雇用確保要件が実質的に撤廃され、経営環境が変化した場合の納税猶予の減免措置が創設されたことにより、将来の税負担リスクが軽減され、この制度が選択しやすくなりました。

③ 後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税制度の適用が可能となりますので、贈与税の納税猶予がさらに使いやすくなります。

(5)留意点

① この制度を利用するには、2018年4月1日から2023年3月31日までの5年以内

に特例承継計画を都道府県に提出する必要があります。

また、特例承継計画には、株式の承継時期や後継者の選定及び育成等の具体的な

事業承継計画を作成する必要があります。

② 一定の要件を満たす納税猶予対象株式の譲渡、合併又は解散等については、納税猶予税額の減免措置が創設されましたが、納税猶予打ち切りの際には納税猶予税額と利子税の納付が必要になります。

③ 全株式が納税猶予の対象となったため、今まで以上に後継者でない他の法定相続人の遺留分に配慮する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

平成30年度税制改正⑦「特定支出控除についての見直し」

(1)特定支出控除とは、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、図書費、衣服費、交際費等の支出額が、給与所得控除額の1/2超の場合に、その1/2超の部分の支出額と給与所得控除額の合計額を給与収入から差引くことができる(給与支払者の証明が必要)制度です。

(2)特定支出控除について以下の内容が見直されます。

① 職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものが加えられます。

② 単身赴任者の帰宅旅費についての回数制限(月4回往復超は対象外)が撤廃されます。

③ 帰宅のための通常要する自動車の燃料費及び有料道路の料金が加えられます。

(3)適用時期

2020年分から適用されます。

 

平成30年度税制改正⑥「配偶者控除等及び扶養控除等の所得要件の引上げ」

(1)改正の趣旨

配偶者及び扶養親族が給与所得者、公的年金等所得者の場合、給与所得控除や公的年金等控除の10万円引下げにより、所得金額が10万円増加します。

そのため、所得制限額を10万円引上げて調整したところで配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除の判定を行うことに改正されました。

(2)改正のポイント

① 配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除控の判定を行う所得制限額が、現行の所得金額より10万円引上げられました。

② 控除が認められる扶養親族等の所得金額

内      訳 現  行 改正後(注)
同一生計配偶者及び扶養親族 合計所得金額 38万円以下 48万円以下
源泉控除対象配偶者 85万円以下 95万円以下
配偶者特別控除の対象者 38万円超123万円以下 48万円超133万円以下

(注)給与所得者及び公的年金所得者の収入金額は現行と同じです。

(3)適用時期

2020年分から適用されます。

(4)影響

扶養親族等が給与所得者及び公的年金所得者の場合には、現行の収入金額と同じで適用対象者に影響ありませんが、仮に扶養親族等が給与所得者、公的年金等に係る雑所得者以外の場合には、扶養控除等を受けるための所得制限が10万円増加しましたので、扶養控除等の適用対象者は増加します。